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「起きろ。出かけるぞ」
目を開けると、まだ夜が明けたばかりだった。いつも起きるのは昼過ぎだから、頭がふらふらする。ようやく起き上がり、正座すると、侑は男に挨拶をした。
「おはようございます」
「先ず、これを着ろ」
男は新しい着物を差し出した。丁稚が着るような地味な木綿の袷だった。
「はい」
背中を向けて侑は着替え始めた。男は黙って侑の身体をみつめている。外遊びなどさせたことは無いから、白い身体には一点の染みも傷もない。数えで十五になるが、華奢な造りの身体は子供のようだった。
陰間は幼いほどいい値が付くのだが、もう少し、もう少しと思って手元に置いているうちに、年月が経ってしまったのだ。
━━足元を見やがって。
先日のことを思い出して、男は舌打ちをした。
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