弦月

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 ドアを開けると、中年の男と自分と同じくらいの年頃の少年が腰かけて、議論を交わしていた。聞きなれない言葉が多くて、話の内容は全く分からない。 「先日、申請書を提出したマサと申すものです」  マサ? 侑は男の名前を初めて知った。本名かどうか怪しいものだが、自分には関係のないことだ。 「それで、このサンが応募に応じたいと申しておりまして」  自分は何かに応募したことになっているらしい。侑は黙ったまま、頭を下げた。
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