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「見つけたぞ。これでまた俺の勝ちだな。」
そう言って近づいてくる手の中には確かにあたしが隠したびいだまがあった。
「嘘でしょ!?なんでわかったの?」
「隠すときに光のこと考えなかっただろ?光ってたから、すぐ見つかったぜ。」
「あ・・・しまった!」
木の枝の付け根においたときに、自分の影がかぶっていたのをすっかり忘れていた。光っていれば、そのぶん見つけやすくなるのは当然だ。
「さてと、じゃさっそく聞いてもらうか。お願いを。」
「・・・わかったわよ・・・何?」
「今付き合ってるやついないなら、しょうがねぇから、俺が付き合ってやるよ。彼女になれ。」
「はあっ!?」
思わずすっとんきょうな声が出てしまった。顔をみると、真剣な顔をしていたので、冗談じゃないことはわかった。
「付き合ってるやついるのか?」
「いない・・・。」
「なら問題ないだろ?それとも・・・嫌か?それならそれで構わないぞ?」
「別に嫌じゃない・・・ただあたしでいいの?」
「バカだな。冗談で言うわけないだろ。あの時・・・お前のびいだま預かった日に本当なら言いたかったんだよ。10年たっちまったけど・・・。」
「!あの日から?」
「あぁ!情けないとか女々しいとか言うなよ!違う女と向き合ってみようとしたけど、いっつもお前の影がちらついて離れないんだよ!」
一息にそういう顔は少し赤くそまっていた。それが子供みたいで笑ってしまった。
「なに笑ってんだよ。」
「だって耳まで真っ赤になってるから。」
「しょうがないだろ。告白なんてそうそうするもんじゃないし。で、どっちなんだよ?」
「嫌じゃないって言ったでしょ?あたしと付き合って。」
それを聞いた瞬間の彼の喜んだ顔を、あたしは忘れることはないだろう。
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