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公園に着くと小さい子供が元気よく走り回っていた。繋いでいた手を離す。
「...行かないのか?」
「...いく。」
「...もしかして、初めて来たのか?」
こいつは頷いたあと、ベンチを指差した。
「あれなに?」
「ベンチだよ。地面に座るのは汚いからな。外用の長い椅子みたいなもんだ。」
「...すわりたい。」
「え?...じゃあいくか。ほれ。」
疲れているのかと思いながら手を繋ぐ。ベンチへの最短距離は子供の遊んでいる中央を通るルートだった。
中央を突っ切る。途中で小さい子供が俺にぶつかってきた。その子が転ばないように支えてやる。
「おぉ、気をつけろ~。...よし、偉いぞ~。」
優しく声をかけると、びっくりしたあと泣きそうになるのを堪えるのが見えた。...どうしよう。辺りを見回すと、この子の母親らしき人が走ってきた。
「すいません!うちの子が...!」
「いえ、こちらこそ驚かしてしまったようで...」
子供は母親を見つけると俺から離れて泣き出した。母親それをあやす。
「助けてくださり、ありがとうございます。」
「いえ、気を付けてくださいね。...では。」
母親と別れ、ベンチに辿り着く。繋いでいた手を離しベンチに座らせる。ベンチの隣に自販機があった。...オレンジジュースでいいかな?
「お前、オレンジジュース飲める?」
「おれん...?」
「蜜柑の汁みたいなやつ。」
「みかん、すき。」
「そうか。」
缶のオレンジジュースを買い、蓋を開ける。
「ほれ。」
「...いいの?」
「疲れてるんじゃないのか?」
「あ...ありがと...」
俺から缶を受け取り飲み始める。
「...あまい。」
「嫌いか?」
「ううん。...すき。」
「そうか。」
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