0人が本棚に入れています
本棚に追加
生まれたての赤ん坊の泣く声で目を開けると、病院の廊下の椅子に座っていた。...さっきのは夢か。
...そうだ。あいつは?
「おめでとうございます。元気な女の子です。」
看護師か誰かがやってきて俺にそう言った。
「...会えますか?」
「えぇ。もう大丈夫です。」
その声を聞き終わらないうちに駆け出す。
部屋に入るとあいつが横になってた。ホッとする。
「...頑張ったな。頑張ったよ。ありがとう。」
それしか言えない自分がもどかしい。それを聞くとあいつは笑いながら眠りについていった。さっきの看護師が片付けながら口を開いた。
「今回は大変でした...赤ちゃん全然出てこなくて...」
「そうなんですか?」
「えぇ...でも先程自分から出てきたので...よかったですね。」
「あの...子供見ても良いですか?」
「良いですよ。抱っこしますか?」
「え?...あっ...はい。」
抱っこして顔を覗き込むと、夢で見たあいつな気がした。
「...また会ったな。俺が父親だからな。覚悟しとけよ。」
笑みが溢れる。さっきの夢の最後に言われた言葉を思い出す。
最初のコメントを投稿しよう!