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判断を保留して帰宅し、ぐずぐずとドアのかぎをあけようとしていると、後ろから誰かに襲われた。
「!?」
「……!!」
そのままなだれこむように玄関で、押し倒された。頭を床にしこたまぶつける。そのまま胸倉をつかまれ、起こされる。
「ナオくん!?」
突然現れた七尾は森谷の上に馬乗りになった。殴られる直前みたいな、すごい力でつかまれ、そのままキスされる。
「むぐ!!!!!」
濃く、深いキスだった。一度離れたが、また何度も息継ぎしながら、七尾は森谷に口づけを続ける。
乱暴で一方的なキスはどのくらい続いたのか、突然、バッと手を離すと、七尾は森谷の上に乗ったまま自分の腕時計で時間を確認した。
それから呆然としている森谷の身体の上から身を起こすと、ドアをけ破るように出て行った。
「ちょ、ナオくん!!」
森谷は腰をぬかしたような状態で叫ぶ。
「ナオくん!!」
必死にその背中を追いかけ、腕をつかむ。
「感染者はお前だけじゃないんだ、時間ないんだよ!!」
飛び出したマンションの通路、言い方が、振り返った顔がとても切実で、泣きそうで、あっけにとられているうち、腕をふりほどかれた。
すぐに追ったが、あっという間に見失った。
唇にはまだ七尾の感触が残っていた。
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