七瀬へ

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伸びきった髪に、真面目だけを強調するやぼったい眼鏡、ひよっとした体形。 七瀬と俺はあまりに不釣り合いだった。 途端に言おうとしていたことが吹き飛び、しどろもどろで話し出す。 「えっと、俺、美谷翼、です……。そのごめん」 何に対して謝ったのかはよくわからない。 手紙を書かなくなったことなのか、男だったことなのか、それとも自分自身の外見なのか……。 こちらの言葉を聞いて、戸惑っているのが伝わってきた。 「あ、そ、そうなんだ……」 目を背けられ、うつむいて落ち着かない様子を見せている。 「ごめん、急いでるから……」 七瀬はそう言うと、小さく頭を下げて、逃げるように俺から離れていった。 言うんじゃなかった……。 怯えたような顔つきを思い出すと、話しかけてしまったことを強く後悔した。 入学後、お互いクラスは離れ、七瀬の姿をみることもほとんどなかった。もちろん手紙も来ない。 七瀬とのつながりは完全に消えた。
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