七瀬へ

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「俺、宮下さんが言ってた店で、あとから買ってくるよ」 「私も白い布も買いたいし、一緒に行こうよ。七瀬ちゃんも来る?」 七瀬は小さく首を横に振る。 来ればいいのに。 9時すぎなのに、外はもう日差しが強くなっている。 絵具で丁寧に塗りつぶされたような空は、嫌味なほど同じ色が広がっていた。 作業に区切りをつけ、沙織と一緒に買い出しに行こうとする。 「じゃあ、行ってくるね!」 七瀬は小さく手を振って返した。 廊下に出ると、できるだけ平然を装って、七瀬のことを聞いてみた。 「宮下さんって、どんな子?」 「なんでそんなこと聞くの?」 「いや、マーブリングやったことないし、何かを聞くとしてもどんな子か知らないの失礼かなと思って」 「あー、そっか。大人しそうに見えるけど、けっこうサバサバしてるし、面白い子だよ」 「ふーん」 気のない返事をして、出来るだけ気持ちを悟られないようにする。
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