七瀬へ

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「おーい、今からペアになる子の名前を知らせるぞ。出席順に呼ぶから、用紙を取りに来いよー」 担任の先生の声が教室に響く。 ざわざわと落ち着かない中で、クラス活動は始まった。 市内では、近隣の小学校の生徒同士が交流する取り組みがあった。 その一環として、五年生になると、手紙の交換会が行われる。 「今年はこの学校から手紙を送る。出来るだけ相手に分かりやすく読んでもらえるものを書くように!」 先生はそう言うと、順番にクラスメイト達の名前を呼んでいく。 「美谷 翼(みたに つばさ)」 しばらくすると自分の名前が呼ばれた。 僕は相手の名前を書いた用紙を受け取りにいく。 『宮下 七瀬(みやした ななせ)』 それがペアになった子の名前だった。
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