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何も知らないまま過ごすのか、それとも、七瀬に伝えるのか……。
わざわざ話さなくてもいいんじゃないか、そんな気持ちが強かったが、バレるかもしれないと心配しながら高校生活で続けていくのは嫌だった。
散々悩み、入学式の前にある学校説明会で、本当のことを告げようと決めた。
説明会が終わった後、七瀬の出身中学校の生徒が集まる場所へと足を運ぶ。
小柄でショートカット、ただそれだけの情報を頼りに七瀬を探す。
後から眺めて、それらしい人物が目についた。
目の前の女の子が、友達から「七瀬ちゃん」と呼ばれるのを聞くと、顔は見えなかったが、この子だと確信した。
そばにより、俺は後ろから小さく、「宮下さん」と声をかける。
呼ばれた七瀬は振り返った。
整えられた短い髪に色白な肌、くっきりとした二重の目で愛らしく首をかしげながら、こちらをじっと見ている。
この子が七瀬?
ずっと外見に無頓着でボーイッシュな女の子だと思っていたのに、ものの見事に予想を外された。
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