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「そうなのよ(ゴキブリが出たのよ)。大きいのがねー。お母さんもうビックリしちゃって。カオリも気を付けなさいよ(どこから出て来るかわからないから)」
「大きいの?(お母さん最近便秘気味だーって言ってたし、お通じが有ったのかな?)わたしは平気だよ(便秘してないよ)」
「ええ?カオリ(ゴキブリが)平気なの?お父さんも(退治するのを)嫌がってたのに
」
「うん平気(お父さんも便秘なんだ。遺伝してるかも知れないからわたしも気を付けとこっかな)
普段から自分は便秘がちだと公言している女性が、女性に共通する話題として大きいのが出たと言っていたら、そう思うのも無理は無いのだが、この家族はまたしても厄介な入れ違いを起こしてしまった。遺伝したのは便秘では無く、言葉足らずのおっちょこちょいな所だった様だ。
「はあ。(ゴキブリなんて)出てこなきゃ良いのに、何で(わざわざ人間の目の前に)出て来るのかしらねー」
「いやいやお母さん。(便秘を嫌がる)気持ちは分かるけどさ、(便が)出て来るのは仕方無いよ。(人間だって)生物なんだから」
「悟ったみたいに言わないでよカオリー。なんで貴女は(ゴキブリが)平気なのよ」
「わたしが平気って言うよりさ、(便秘の原因は)お母さんの運動不足とかじゃない?」
「運動不足ねえー。(確かにゴキブリを叩く時には動けた方が有利そうだけど。カオリはいざとなったら潰せるから平気って事?)お母さんカオリが羨ましいわー(肝が座ってて)」
男性と女性の会話では女性が入れ違いによって過大評価されていたが、今度は女性のなかで少女の評価が上がって行く流れだ。実際に少女がゴキブリをどう思っているかについては、想像に容易いのだが。場所を玄関からリビングに移して、入れ違いの会話は続く。
「ねえカオリ。貴女本当に(ゴキブリが)平気なの?」
「平気だって(今朝も出たし)。お母さん、わたしより自分の(お通じの)心配しなよ」
「そ…そう?なら良いけど(凄いわねカオリ。次にゴキブリが出たらお父さんじゃなくてカオリにお願いしようかしら)」
「お母さん、(わたしにもこれだけ言うなんてさ)そんなに(便秘が)怖いの?」
「そりゃあ(ゴキブリは)怖いわよ。見たくもないわ」
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