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ドルアーガの塔が平屋になっていた。
住所を間違えたと思い地図アプリを開いたがやっぱりあっている。
ショベルカーが1台まだ止まっているので、僕が旅行に行っている1週間かそこらの間に建て替えられたみたいだ。
ギルは思案した。
理由は?少し心当たりがある。
最近、簡単に攻略できる10階あたりまでのアイテムを集めてそのまま帰り、質屋に売るというのを繰り替えしている主人公がいる。僕だ。
あのアイテムは勝手に出てくるわけじゃなくてドルアーガがちゃんとネットショッピングとかで仕入れていたのかもしれない。
というか玄関脇にいっぱいダンボールが積まれているからまず間違いない。
少しの罪悪感と、「今なら楽勝で攻略できるんじゃね?」という思いが沸いてきた。
ギルは意を決して、チャイムを鳴らした。
ビー。
かなり古いタイプの音が鳴った。
「動くな、貴様が勇者であるかどうか確認をする」
そう言われて待っていると、中でドタバタと音がした。
ギルはそろそろとドアに近づき聞き耳を立てた。
「湯のみ洗って!こっちはちゃぶ台片付けるから!」
「洗い物干すとこどこ?」
「そのまま戸棚に入れていいよ!」
この瞬間にドアを蹴破って入りたい衝動に駆られたがギルは待った。
10分後。
「はぁはぁ、勇者である確認がとれた。では、10秒経ったらドアを開けてよい」
かなり息切れしてるじゃないか。
「あ、そうだ。このダンジョンは60階まである。私は59階で待っている。
貴様にそこまでたどり着ける力があればだがな!」
どうみても1階建てなんですが。まあいい。
ギルの冒険が、いま始まる!
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