1階~10階

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「勇者よ、それは置いといて」 「イシター様、なぜドルアーガに協力しているのです?」 声を無視してギルはぬいぐるみに話しかけると、ぬいぐるみは震えだした。 「神がドルアーガに協力するなど断じてない!それに、私はドルアーガの化身だ!」 「イシター様の声が聞こえますけど」 「それはあれだ。実は私はイシターに化けたサキュバスだ。ちょっと早いけど出てきちゃった!」 「サキュバスが出てくるのは57階ですよ、早いなんてもんじゃない」 ドルアーガが咳払いするのが聞こえた。 「それ以上追及するとカイを殺す。いいな」 「はいはい」 ギルは割とどうでもよくなってきたので大人しく従った。 「では、始める前にダンジョンに関する注意点をいくつか話す」 「なんかアトラクションみたいだな」 「1つ目。触るな、と書かれたものには指示があるまで触らないように」 最初は触れるものはほとんどなさそうだ。 「2つ目。床が抜けたりして危ないので、ダンジョン内では走ったりジャンプしたりしないように」 ギルは床を少し足で踏みしめてみる。確かにギシギシと今にも壊れそうだ。 「3つ目。本ダンジョンはネタバレ禁止となっている。外に出た後に中のことを話さないように」 「なんだよネタバレって」 「4つ目!これが一番大事だからよく聞け。ダンジョン内のアイテムは持ち帰り厳禁だ!」 声に気合がこもっている。やはり塔が平屋になってしまったのは僕のせいらしい。
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