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「勇者よ、それは置いといて」
「イシター様、なぜドルアーガに協力しているのです?」
声を無視してギルはぬいぐるみに話しかけると、ぬいぐるみは震えだした。
「神がドルアーガに協力するなど断じてない!それに、私はドルアーガの化身だ!」
「イシター様の声が聞こえますけど」
「それはあれだ。実は私はイシターに化けたサキュバスだ。ちょっと早いけど出てきちゃった!」
「サキュバスが出てくるのは57階ですよ、早いなんてもんじゃない」
ドルアーガが咳払いするのが聞こえた。
「それ以上追及するとカイを殺す。いいな」
「はいはい」
ギルは割とどうでもよくなってきたので大人しく従った。
「では、始める前にダンジョンに関する注意点をいくつか話す」
「なんかアトラクションみたいだな」
「1つ目。触るな、と書かれたものには指示があるまで触らないように」
最初は触れるものはほとんどなさそうだ。
「2つ目。床が抜けたりして危ないので、ダンジョン内では走ったりジャンプしたりしないように」
ギルは床を少し足で踏みしめてみる。確かにギシギシと今にも壊れそうだ。
「3つ目。本ダンジョンはネタバレ禁止となっている。外に出た後に中のことを話さないように」
「なんだよネタバレって」
「4つ目!これが一番大事だからよく聞け。ダンジョン内のアイテムは持ち帰り厳禁だ!」
声に気合がこもっている。やはり塔が平屋になってしまったのは僕のせいらしい。
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