第3章

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 私達はランチを食べた後、ホームセンターに行き掃除道具を買い、部屋に戻った。掃除道具を買う時は大河も積極的で、特に新製品には目を輝かせていたので、これだったら早く掃除も終わると思っていた。  しかし部屋に入った瞬間、大河は「今日はもう疲れたぁ。掃除は明日にしよう!」と言って寝転んでしまった。そしてベッドの横から座椅子を引っ張り出すとリクライニングを倒してその上に横になってしまった。 「座椅子を出すと電子カーペットの下に保温性のアルミが引けないでしょう。起きて下さい。」 「起きてるよ。んー」  そう言いながら大河はテーブルの上のゲームのコントローラーを手を伸ばして取り、モニターをリモコンでONにして、掃除をする様子はなかった。 「もう、ゴミだけは集めますからね。月曜日の朝が燃えるゴミの収集日みたいですね」  私はスマホで地域のホームページを見て確認した。 「燃えるゴミ?この辺は燃やすゴミって言うんだよ」  大河は顔をモニターに向けたまま言った。 「それじゃ、燃えないゴミは何て言うんですか?」 「それは燃やさないゴミだよ。さっき買ったのを見てごらん」  私は大河とランチ後に行ったホームセンターの袋からゴミ袋を出した。そこには燃やすゴミ、燃やさないゴミとあった。 「ここに来る前に住んでいた所は燃やせるゴミと燃やせないゴミだったな。1つ賢くなっただろう」  嬉しそうに笑った大河に「どうでもいいですよ。可燃ゴミと不燃ゴミで!それより掃除しますよ!」と部屋中の “燃やすゴミ” を集めたのだった。(こっそり新しい言葉を使ってみたい姉川マナ24歳独身)
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