第3章

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 大方の燃やすゴミを集めて袋に詰めた時だった。  相変わらず大河はゲームばかりして掃除はしそうになかった。週末はいつもこんな感じなんだろう、度々入ってくる仕事と思われる電話とメールをしながら遊んでいた。  そう言えば、あのダイソンの掃除機の中のゴミはいつ捨てるのだろう。あの中には大河にはゴミでも私にとってはゴミじゃない思い出も入っている。いつまでもあの中に入ったままなのだろうか?  この様子では大河は何年経っても捨てそうにない。私が捨てる他に無さそうだ。そう覚悟したから……  私は1度、目を閉じ気合いを入れて再び目を開けた。  私が自分の意志で過去にケジメをつけよう。古い広告を広げて掃除機の中を捨てようとした。  その時だった。  その古い広告がかつてイベントで私が大河に手渡したパンフレットだと気が付いた。私が書いた文字も見えた。  大河が言う通り家にあった。が、しかしそれは大切に保管されていたのではなく、ただ広告に紛れて捨てられていなかっただけに過ぎなかったのだと思い知らされた。それは私に対する想いや扱いに感じた。  所詮私も彼にとっては現地調達なんだ……  私はそのパンフレットに掃除機の中のモノを出した。  その1つ1つのプリクラの欠片が……  ゴミのはずの先輩の写真の欠片が……  私は黙ってその1欠片(ひとかけら)を握り締めていた。泣けない自分を恨めしく思った。  そして私の後ろで大河はゲームをしていた。
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