第3章

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「そうじゃないです」  私は握っていたプリクラの破片もそのパンフレットの中に挟み、キッチンのゴミ箱の横に立てかけた。  ゴミの山やあの写真やギータの亡骸は可燃ゴミの袋に詰めて玄関の自転車の横に置いたため、ゴミ箱は空っぽだった。敢えてゴミ箱の中に入れない私は狡いのだろうか?自問自答しながら私は立ち上がった。 「ゴミは月曜日の朝に収集車が来るから、忘れずに出して下さいよ」 「ちょっと、何?いきなり。俺……じゃなくて、僕何かした?明日も来るんだろう? 午前中はジムに行ってるけど昼過ぎには帰るから」  大河は動揺しているようだった。 「そう言えば、マスターキーでしたね。明日は来ないから、鍵も返しますね」  私はバッグから鍵を取り出すと大河に渡した。 「掃除は今からするよ」  大河の言葉を聞いて心が僅かに動いた。掃除してくれたら、あのパンフレットに気が付いてくれるだろうか?気が付いたら大河は何と言うのだろう。  その言葉を聞いたらこの苛立ちも消えてなくなるのだろうか。あー、これが恋愛脳なの。パンフレットを見るまで私はその存在も大河と出会っていたことさえ忘れていたのに。ゴミに苛つく自分が嫌で情けない…… 「掃除が終わったらLINEして下さい」  そう連絡をくれるように言って、「ちょっと待って」と言う大河を無視して私は足早に部屋を出た。  そして、その日は大河からの連絡はなかった……
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