第3章

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 今までと変わらない日常を過ごすうちに、小さなことに一喜一憂したあの日は何だったんだろうと感じ始めた頃だった。  木曜日の夜遅く入浴を済ませ、歯も磨き終わって部屋で寝る用意をしている時だった。いきなり大河から連絡がきた。 「分かった!ごめん!本当にごめん!あれは違うんだ。大事にしてたんだ。本当だよ。お願いだから話をさせて。待ってる。時間は合わせる」  私は画面をそのままにカレンダーを見た。  収集日は月曜日と木曜日だったな。今、気が付いたと言うことはまだゴミ出ししてないな。ギータもまだいるんだ。いつまでギータと生活してるんだ。早く捨ててよ。夏じゃないからまだ臭くないと思うけど。  私は深いため息をつき、手で顔を覆った。  はぁ……やっと気付いてくれた……  そう思った瞬間、笑みがこぼれた。  あー、良かった……  顔をあげ、スマホを弄って「バカ」と、それだけ打つとすぐに返送した。既読が着いた瞬間、通話のコールが鳴り、私は画面をタップした。 「ごめん!謝らせて。今、そっち行くから」  大河は挨拶もなく開口1番にそう言った。  えっ?さっき私の都合に合わせるって? 「明日仕事だし、土曜日でいいですよ」 「いや、今行くから」それだけ言われて通話が切れた。  時計の短針は11を指していた。30代のおじさんが冷静さを欠いて行動して、事故等起こさないか、そっちの方が心配だった。  嬉しいけど、嬉しいけど……
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