第3章

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「そんな言い方されると、私が拗ねていたみたいじゃないですか?」  私は左側に顔を傾け窓の外を見たが目には何も入らなかった。ここ数日の感情が私を苦しめた。こっちはもう終わりだと思った。舞い上がっていた自分が恥ずかしいと思っていた。  梅雨の体育祭後に告白された高校生ですかってくらい何を浮かれてたんだろう。どうせ秋の文化祭前には別れるのに……  大河は転勤先々で彼女を作ってきたんだ。  それこそ現地調達・地産地消ってくらいに。  私とのことも一過性の遊びと思っているかもしれない。本心は大河本人しか分からない……  そう思って忘れようと思ったところに夜中に呼び出され、のこのこ出て行って、「機嫌を直して」と言われ、馬鹿にされたようだった。  悔しい。  悔しいのに。  悔しいはずなのに、それ以外の感情が私の中に占めていた。 「マナちゃん、ごめんね。マナちゃんが怒ってたからずっと悩んでたんだよ。 掃除をしなかったからかなぁっと思って、ゴミ捨てもしたし……それは今朝だけどね。 さっき、パンフレットを見つけて慌てて広げるとプリクラ入ってるし、本当に焦ったよ。2度と見たくない元彼も目に入るし。 まぁー、そこそこ雰囲気イケメンだね。でもそれも捨てようとしてくれたんだって思ったらさ、嬉しくてね、今すぐ会いたくなったんだ」  饒舌に語る大河に何故か苛立ちを感じた。 「先輩は大学の学園祭で初の2年連続ミスターでした。雰囲気イケメンじゃなくて、正統派イケメンです。 でももう先輩の話はしたくないです。鬼木さんが先輩のことを忘れる努力を手伝ってくれるって言ってくれたし、だから話したくないです。 これからは鬼木さんと向き合おうと思ったから来たのに……」
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