第3章

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「茶化してごめん」  大河から謝ってきた。 「僕はマナちゃんと付き合いと思ってるよ。マナちゃんはどうしたいの?」  狭い車内で言い寄られ、耳のすぐ近くで言われた。  私!冷静になれ!向こうは百戦錬磨なんだ。私なんて赤子の手を捻るようなもんなんだ!  でもここで「私も現地調達ですか?」なんて言えるか?言ったところで「違うよ!」って余裕な笑みを見せて言われるだけだ。  この先も自分がどう思われてるか些細なことで不安になりながら続くんだろう。なんて恋愛って面倒くさいの!  「どうしたい」と訊かれたところでノコノコと出てくる私の返事は分からない訳がない。私がなんと言うか分かって訊いてるんだ。  そんなこと分かってる。充分過ぎる程に。分かってるのに、大河の方へ振り向いた私は「私のこと……本当に好き?」と、言っていた。  あぁ、なんて短絡的なんだ!こんなの私から好きって言ってるようなものじゃないのと、自分が恨めしい。  そのとき、「大好きだよ」大河は溶ろけるような笑顔をして私の頭を抱きしめた。ゆっくり離れると「ここじゃアレだから……」それだけ言うと大河はまた運転しだした。  着いたところは、よくもまあ知ってたよね?って呆れるくらいの廃墟の裏だった。 長く住んでいる私さえ知らなかった。住宅街でこんな所はそうそうないはず。  ライトを消して「不安にさせてごめんね」と大河が言った。私は大河の首に両腕を廻し目を閉じた。
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