第3章

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「明日は空いてる?」と、運転しながら大河は聞いた。 「土曜日だったら、すずの2歳の誕生日パーティーの予定です。本当は来週なんですけど、家族旅行に行くとかで明日になったんです」 「それじゃ、日曜日の午後は?」 「この間の日曜日、喫茶店をしている幼なじみの家でランチをしたんです。その時おばさんに次の日曜日も来てっと頼まれたので無理です」 「来週は僕の方が社内旅行だしなー」大河は考え込むように右手で顎の下を掴むようにした。 「再来週は私の方の社内旅行です」  私は軽くバッグを叩くとふぅと息を吐いた。 「次は12月かぁ。もっとマナちゃんと会いたいなぁ」  大河は大きなため息をつき「すずちゃんの誕生日パーティーに行っちゃダメかなぁ」と私に聞いた。 「お義兄さんの実家でするから無理ですよー。12月の土日はなるべく空けるから我慢して下さい。 それに師走は大掃除ですからね。私も一緒にするから協力して下さいね」  それを聞いて大河は更に深いため息をついた。 「また掃除かぁ。一緒に出掛けたのって食事くらいだよ。 映画とか見に行かない?」  信号が赤になり停車すると、大河は右の親指をハンドルの少し内側をタッチすると、スピーカーから流れる音楽は違うアルバムになったらしい。が、同じバンドなので似たような垂直跳びをしたくなるリズムの音楽だった。
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