第3章

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 まだむチッチが作った料理をテーブルに並べると、すぐに誕生日のパーティーは始まった。  昼間のパーティーの為ケーキに2本だけ刺さった蝋燭に火を灯してもムードはなかったが、大人達は喜んで手を叩いて歌った。  ミナの膝の上に座ったすずはその様子をキョトンとした表情で見回していた。歌い終わり蝋燭の火を消すように大人達が言ったところで、まだ理解出来ないすずはキョロキョロとしていて、代わりにミナが吹いて消した。  食事が始まり、祖父達2人はすずの誕生日を謳って昼から呆れるくらい呑んでいた。  男性で呑んでなかったのは大河と策さんだった。 「ビール好きなのに呑まないんですね?」と、私が声をかけると「車で来たからね。まさかすずちゃんの誕生日パーティーで酒が出るとは思わなかったよ。あれ、ウォッカだよな。貰って帰ろう」と大河は何か企んだようだった。  しばらくすると、ミナの膝から降りたすずは大人達の間をチョコチョコと歩いて行ったり来たりしていた。両家が揃ったせいか、いつもだったらキスしたり抱っこしたりとベタベタにすずを可愛がるところがよしよしと撫でるくらいでみんな遠慮がちだった。  自分の扱いに物足りなく感じたところに大河を見つけたすずは人見知りを発令しながら近寄っていった。近寄ってみたかと思えば直ぐに離れ、離れたかと思えば近寄っていた。  そしてふとっ何を思ったのかミナのバッグからオモチャのカードを数枚取り出して大河の前に行った。
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