第3章

26/38
169人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
 すずはおどおどと、大河にその数枚のカードを渡した。大河は笑顔でそれを受け取り「ありがとんとんっとん」と言いながら、逆に1枚ずつすずに返した。  返し方も上からヒラヒラとさせたり、下で車輪のようにクルクルと回したり、目を隠して離すときに「パッ」っと言ったりと変化させていた。  すずは唇を尖らせ「おぉ!」と言いながらそのカードを受け取った。数枚のカードはすぐに大河の手から無くなった。  すずは持っていたカードを大河に渡すとトテトテとオムツが邪魔そうな足取りで走って、また新たにカードを持ってきた。おそらく全部持って来たのだろう。  すずは鼻息を荒くし大河に渡すと次はどんな風に返してくれるんだろうと期待しているようだった。  よく見ると、大河の返し方は4~5種類だったが変顔をしたりしてその都度すずは声をあげて喜んだ。特に顔を隠して「パッ」と言うのが気に入ったようだった。  何か思いついたようですずは柱の陰に隠れて「パッ」と、言いながら走って大河の前に行った。大河は大袈裟に驚いた顔をした後に笑った。  それを見て満足したのか、すずは「キャー」と笑いながら身を震わせ喜んだ後、飛び跳ねるように走って何度も同じ事を繰り返した。  それを横から見ていた母が「可愛いわね」と言い、その場に居たみんなが頷いた。  私はすーっと「流石、ロリコンですね。すずの心を鷲掴みですよ」と、大河の傍に行って囁いた。 「何度も言うけどロリコンじゃないからね。それにしてもこんなに楽に懐いてくれるとは思わなかったよ。 単純で分かりやすい所はマナちゃんそっくり。やっぱり姪だね」  ヤダ!どうして2歳児と同じなの!
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!