170人が本棚に入れています
本棚に追加
「すーずぅー。このおじさんね、鬼木さんって名前なの。鬼木さんって、言ってみて。お・に・き・さ・ん」
「おにっちぃたん!」と、すずは元気よく言った。
「お兄ちゃんかぁ。すずちゃんはいい子だなぁ。そうだよね。おじさんじゃないよね。
マナお姉ちゃんは僕のことおじさんって言うんだよ。酷いよね。すずちゃん、ねぇ、もう1度お兄ちゃんって言って」
大河に懐いたすずはその後、何度も「おにちぃたん」と繰り返し言い、最後の方は「おにいたん」と変わり、ぴょんぴょんと飛びながら言っては大河を喜ばせた。
私より大河の方が単純で簡単じゃないか。あぁ、おじさんと言わせたかったのに失敗した。
私がムッとしていたのか、大河が私の傍へ寄って「拗ねたマナちゃんも可愛いなぁ」と抱きしめた。
「嫌、やめて。恥ずかしい」と、私が振り解くと、策さんの父の米蔵と母のmocoと目が合った。米蔵がmocoにまるで吸い寄せられるように移動した。
その瞬間、策さんが「今は止めろよ!鬼木さんが来ているだし」と大きな声で2人に言った。
米蔵が残念そうに「ちっ」と軽く舌打ちをした。その様子を不思議そうに大河が見ていた。
……………………
そろそろ誕生日パーティーも終わりに近づい時だった。
ミナが爆弾発言をした。
「今日はすずの為にありがとうございました!
まだまだ幼いすずですが、来年の夏にはお姉さんになる予定です。
これからも親子共々宜しくお願いします」
その瞬間、策さんが立ち上がった。
「マジっ?うわー!やべー。何、このサプライズ!凄く嬉しいんだけど。ありがとう」
策さんは喜びのあまり混乱している風だった。
すずを抱き締め「お姉ちゃんだってよ、お姉ちゃん!すず姉ちゃん!」と頭をグリグリと押し付けたが、感動が分からないすずは迷惑そうだった。
最初のコメントを投稿しよう!