第3章

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 パーティーも終わり銘々帰り支度をしていた時、すずがプレゼントの山の方へ歩いていった。事前にミナが買って欲しい物を言っていたので、重なる事はないとここに居る全員が分かっていた。  その上、ミナがママ友から「両家が集まった孫の誕生日会でプレゼントを開けて、子供が自分の実家からのプレゼントだけ喜んで、夫の実家からのプレゼントに目も向けなかった時の心臓の悪さはこの上ないから、絶対にその場で開けるな」と釘を刺されたと、2週間前の帰省中に語っていたので開けることはないだろうと私は思っていた。  すずは開けられないまま積まれたカラフルな箱に興味津々といった様子だった。その内の1つで1番軽かったために最上部に置かれた私が買った物をすずは両手で抱えてミナの方へ半分くらい歩いた所でピタッと止まり、大河の方へ身体を向けた。  箱とミナと大河を見比べていた。中身は気になるが、この箱を大河に渡すとどうなるだろうといったところか?  どちらに渡そうかと思案中のすずにミナが「おいで」と声をかけた。  すずはプレゼントを持ったまま急ぎ足でミナの元へ行き、「んー」と言って持っていた箱を渡した。 「中を見たいの?」とミナがすずに聞いた。 「見たい!」すずは万歳をするように 両手をあげてピョンと跳ねた。
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