第3章

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「それにしても、どうしてコアラのマーチなの?」  ロシアンルーレット餃子をみっちの父のゆうじ・まだむチッチ・みっち・そして部活が休みだったみっちの弟のぴよと一緒に食べながら私はまだむチッチに聞いた。 「あっ、それ聞いちゃヤバいヤツだよ」とみっちが険しい顔で言った。 「どうして?」 「話が長くなるから……」  そう言われても言ってしまったのだから後の祭りだった。  嬉しそうにまだむチッチがスポットライトを浴びたように立ち上がって話し出した。 「実はここに行き着くまでに紆余曲折があったの。ただ美味しい餃子なんてどこにでもあるじゃない。 だから当たり付にしたのね。じゃ、当たりは何にしようかしらと、色々作ってみたわ。 最初は普通に誰でも思い付くワサビとカラシにしたの。そうしたら本当に辛くて私が食べられなかったの。 それで紅生姜にしたら、焼くと皮が赤くなってね、当たりがバレちゃったの。 その次にラムネを入れたら、逆に全然分からなかったのよ。餃子のタレも甘酸っぱいじゃない?ラムネは違和感なさすぎて、入ってることを誰も気が付かなかったの。 それから飴は固すぎて歯が折れそうになるからダメだったし、グミは溶けて色でバレるし、苺は季節で高い時もあるし、チーズは普通過ぎて面白さが欠けてるし、チョコレートは溶けて出てきてダメだったの。 そこでね、チョコレートを吸ってくれるクッキーを一緒にしたらどうかなって閃いちゃったの。そうしたら、これが最高で食べるまで誰にもバレなかったの。それでコアラのマーチに行き着いたって訳」
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