第3章

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 更にまだむチッチの話は続いた。 「でもね、コアラのマーチって、一寸大きいのよ。それで半分に切ったり色々試してみたのね。 それで4隅を切り落とすのが1番って分かったの。この当たりまで大変だったわ」  しみじみ且つ嬉々と語るまだむチッチだったが、それら試作品を食べたのは……  食卓を囲むみんなの顔を見ると、一斉にみんな下を向いた。  こっ、怖い。怖すぎる。  そして次の候補はロシアンルーレット・ミートボールだったよね。これも当たりに合う食材を研究したんだろう。  12月のレシピは分かった。  1月は甘酒麹の減塩味噌作りって聞いた。  2月は何だろう。バレンタインに因んでまさかチョコレートを使ったおかずじゃないよね。 私は気になって、つい訊いてしまった。 「来年は何を作るの?」  私が訊ねた瞬間、みっち達が戦々恐々とした顔でまだむチッチを見た。 「1月はお味噌で、これは毎年同じものね。 2月は豆腐と湯葉のこの時期に食べたい温かい闇鍋ね。 3月はひな祭りもあるから金太郎飴のような飾り巻き寿司で今ね練習中なの。 4月は高校3年男子を持つお母さんが作りたくなるキャラ弁の予定よ。 1月の味噌作りにはマナちゃんのお母さんも参加することになってるわ」  一癖ある料理ばかりじゃない!キャラ弁って幼稚園児用じゃなくてわざわざ高校3年男子限定なのよ。  “人生相談”で出しているメニューからレシピを料理教室で教えたらいいのに。  あっ!今、食べたのは当たりの餃子だ。口の中いっぱいに肉汁とチョコレートが広がった。
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