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当たりの餃子は想像通り不味かった。
飲み込めないくらい不味くはなかったが、外れの餃子は小籠包かと思うくらいジューシーなのに、敢えて不味くする理由が分からなかった。
“人生相談”のまだむチッチの手作りのランチはどれも美味しいのに……
「“人生相談”のオムライス美味しいのにしないの?ずっとインパクトある料理ばかりでし……」
空気を読んで控えめに私は言った。
「そうなのよ!今はインパクトがないと来てくれないからねぇ」
そういうもんなんだ。
そしてふと4月のメニューを思い出した。高校3年の男子のお母さんって、それってまだむチッチ本人じゃないか。それではキャラ弁を持っていくのは……ぴよ?
(ちなみにどうでもいい事だけど、チッチ、みっち、鬼っち、菊池っち、ぴよとニックネームを付けたのは私の母である。
ぴよの本名は鴬と生まれると書いて鴬生と言う。
ホーホケキョがニックネームじゃなくて良かった)
「ぴよ、あなたキャラ弁は大丈夫なの?」
身長は180センチを超え、どこから見てもぴよのニックネームは似つかわしくなかったが、私は今でも昔の呼び方のままだった。
「あー、食えればいいよ。それに部活の遠征で家にほとんど居ないし、姉ちゃんみたいに週末の実験台になれないから、これくらいは貢献するよ」
ぴよは餃子を2つずつ頬張りながら言った。
どうやったら、こんな優しい子に育つんだ?
「今日は部活は休みなんだ?」
「あ、嫌、そうじゃないけど……怪我して……」
ぴよは私から目を逸らしてご飯を頬張った。私はそれ以上ぴよに訊けなかった。
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