第3章

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 それなりに髪も乾いたようだった。 「もう乾きましたよ」  私はそう言ってタオルを大河に返した。 「ありがとう。それじゃお礼」と、大河はそのタオルを私の首に掛けて引っ張った。  必然的に私と大河の顔は近づく。私は大河の肩に両腕を回した。  ゴミ屋敷でキスは嫌なはずなんだけど……  でも、これはお礼なんだし。うん、誰にも見られてないからいいか。久しぶりに甘えられて照れながらも嬉しかった。  クチュ……  キスをする度に大河が好きになっていく。  目を合わせる度にお互いに好きと言い合う。 「鬼木さん」と言っていたのが、いつの間にか「大河さん」と言っていた。  それを聞いた大河が「大河だって」と言い、こんなに年上なのにいいのか戸惑いながら「大河」と呼び捨てにした。 「マナ」「大河」何度となく呼び合って目を合わせてキスをして微笑みあった。あー、この人キスが上手……ぅんー気持ちいい。私はどんどんと感情が高まっていった。もうゴミ屋敷でもいいやと思った瞬間……ガサっと音がした。  薄目を開けて見るとそこには……  Gがいた!  Gから見られながらのキス!!さっきは誰にも見られていないと思っていたが、まさかGから見られるとは。  あー、もう、嫌!(このページでは初のはず……)  昨日はこんな汚い部屋なんて虫さえも寄り付かないと思っていたのに、Gは平気だったらしい。  それにしても11月で元気なGとか、どれだけ栄養があるんだ。Gも慣れたようで「あー、はいはい、続けて続けて」っといった風で、こちらを気にしてないのか積極的に逃げようとしていなかった。
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