第3章

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 もうGが気になってキスどころではなかったが、こんな気持ちがいいキスは初めてで止めたくなかった。  私は視線の端でGの様子を探っていた。Gは私と目が合ったはずなのに、慌てた様子もなくキッチンへ迷いなくスーッと行った。  そして大量に転がったビールの空き缶の周りをうろうろしたり止まったりしていた。  もしかして、呑んでいるの?  しばらくするとGはまたノロノロと歩き出した。しかもその歩き方はさっきとはまるで違った。蛇行しながら、しかもかなり速度は落ち、時折壁にぶち当たった。  G!まさか、あんた酔ってるの?  それは初めて見たGの千鳥足だった!まだ12時になったばかりだと言うのに、もうビールを呑むなんて早すぎ。住人がこれだからGまでだらしないんだ。  それより殺虫剤はないのだろうか?  私はGを見て叫んだりしないけど、やはり駆除するには殺虫剤がないと出来ない。母だったら瞬殺でスリッパで叩き潰すけど……  洗濯用の洗剤だってないくらいだから、殺虫剤なんて有るわけないよね。これも買わないといけない。後でメモに書いておこう。  ふと気が付くと大河の舌が私の左の鎖骨を這い、右手は私のブラジャーの中に入ってゆっくりと動き出した。  いつの間にか私の左側の下着の紐は肘のところにあった。ブラウスのボタンも上4つは外されていた。  大河の左手はゆっくりと私の右側のブラジャーとキャミの紐をずらそうとしていた。 「待って! 殺虫剤を買いに行くから」  私がそう言うと大河は驚愕の表情で「ごめん!先走りすぎた!もうしないから。だから僕を殺さないで」と、慌てて私のブラウスのボタンを留めたのだった。
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