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まさかの出来事
「グワアアアアッ」
「ギャアアアアッ」
森の至る所で、友人達の悲鳴が聞こえた。
私「ハアッハアッ。こんなツアーに参加するんじゃなかった。」
私は、森の中をリュックを背負って走っていた・・・・。
私は、1週間前に2人の友人・田中と安藤に、ゴリラ・トレッキングに行こうと執拗に誘われ、参加することになった。ゴリラは温厚で、襲われたりすることはなく、ゴリラに興味がない人でも、ゴリラ・トレッキングが終わる頃には、心が癒されて、その場から帰りたくなくなるということだった。
そして、はるばる日本から、ここ東アフリカのゴリラ・トレッキングができる森へとやって来た。簡単な手続きを済ませて、中年の男のガイドの指示に従って歩き、マウンテンゴリラの群れを見つけた。
ガイドの説明では、ゴリラはナックルウォーキングという四足歩行で歩くと言うことだったが、私達の見たゴリラ達は、人間のように普通に二足歩行で歩いていた。しかも、何か良いことがあったのか、スキップをしているゴリラもいた。それを見たガイドは絶叫した。
ガイド「ゴリラがスキップを・・・・そ、そんな馬鹿な・・・・まさか、進化したというのか!!」
二足歩行で歩いているところを見られたマウンテンゴリラのボス・シルバーバックは、ガイドのところにまるで、ボルトのような軽快な走りで近づいて、見事な右ストレートを放ち、ガイドの顔は変形して、ダランと垂れ下がった。恐らく首の骨が折れたのだろう。そしてガイドはその場に倒れて、ピクリとも動かなかった。
私「な、ゴリラって、全然温厚じゃないじゃないか!!」
学生時代にボクシングをしていた、身長180㎝程の長身・田中が叫んだ。
田中「みんな、逃げろ!!コイツは俺がなんとかする!!」
私「田中、無理だ!!やめとけ!!殺されるぞ!!」
田中「お前も知ってると思うが、俺はボクシング地区大会で優勝したことがある!!大丈夫だ!!」
私「確かその時のお前の階級の参加人数は、2人だったじゃないか!!お前は、いきなり決勝で1回勝っただけだ!!しかも3Rルールで、判定勝ちだ!!」
田中「それを言うな!!でも、1回勝つってのは大変なことなんだぞ!!いいから逃げろ!!」
安藤「わ、分かった!!頼んだぞ、田中!!」
私と安藤は、田中の後ろ姿を見ながらその場から逃げ出した。
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