おもちと桃と私のバナナ

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鏡を見てびっくりした。そこにはまぎれもなく女の子がいた。鼓動が高鳴り、心が躍った。 それから色んなメイクと服装を試し、写真を撮りまくった。不思議なことにキレイになればなるほど心が軽くなっていった。 やればやるほど自信がついてきて。徐々に外に出てみるようになった。はじめはすれ違う人の目線が怖かったけど、バレてないのか、それとも人のことなんて見てないのか、誰も気にしている様子はない。いままで自分がどれだけ自意識過剰だったのか、気が付いて、心の重石が取れたようだった。 ついにそのまま大学にも行くようになった。大学でも誰も気にしている様子はない。堂々と学食でランチを楽しんでいた。そんなある日。 「ねぇ。隣いい?」 さきちゃんが声をかけてくれたんだ。白とピンクの服に包まれた姿は、天使のように見えた。それからよく会うようになった。友達が出来てほんとうに嬉しかったんだ。 元々、恋愛対象は女の子だった。徐々に男としてさきちゃんを好きになっていってしまった。でもどうしようもなく、なるべく自分の気持ちに気が付かないフリをして過ごしていた。 もしバレたら、もう一緒にいられなくなるだろうな。軽蔑されて、関係も壊れるだろう。もしかしたら学校中に言いふらされて学校にもいれなくなるかもしれない。
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