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 飛行機が滑走路を走り、空に向かって飛び出してゆく。  座席に押し付けるgで魂が押し出されてしまいそうだ。もういっそ、ところてん方式でうまいこと未練だけ置いてけたらいいのにな…  雲の上に出ると今度は自分の枠からちょっとはみ出たような浮遊感。それは喪失感にも似ている。  手のひらを見つめる。  知ってしまった温もりを見つめる。  ない。それはない。  ない!ないよな?可愛い後輩だけど、小便小僧と同じもん、ついてるし…  まさか「またね」って“未知の世界にこんにちは”と案外繋がってたり、とか? 「こえー」  思わず出た声に、横のサラリーマンがビクリと身体を震わせた。 「あ、すいません」  軽く会釈。コホンと咳払いし、小さな窓の外を見る。  足元には雲。その上に一筋の夕焼けが残る。燃えるような鮮やかな朱色も、もうすぐ消えて無くなる。  雲の上と下はもう暗い。夜はすぐそこだ。      この夜を越えれば違う朝が待っている。同じ朝はもう来ない。  だからそう、泣く必要なんてないんだ。 終わり
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