丘の上に建つ白い家の傍らに、二人の男がいる

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あぁあぁあぁあぁあぁぅあぁあぁあぁあァァァァァッッッッッ 力のない悲鳴だ。もはや虫の息だ。自分でもよく解っている。 「私」はもうすぐ消えてなくなるのだと。 緑の丘の上に白い家が建っている。 窓はあるのかないのか判らない。 ドアが一つあって、少し離れたところにいる男が、最後の文字をしまい込もうと、よいしょとばかりに文字を担ぎ上げている。 待ってくれ! しまわれては困る、しまわれては困るんだ! 「私」は叫びながら走り寄る。 と申されましても。 私はこれを生業にしていまして。このお役目をおおせつかったとき、 釘を刺されたのでございます。 どなたからの指示も受けてはならないと。 私は文字になった“声”をしまうだけ。 例外はございません。 しかし。 しかし、“それ”をしまわれては、「私」が消えてしまうのではないかと心配なんだ。 とても、とてもね。 ご覧、「私」がどれほど心配しているか、君にも見えるだろう? 「私」は心のドアを開けて、最後の文字をしまおうとしている男に見せる。 緑の丘の上に白い家が建っていて、窓はあるのかないのか判らない。 ドアが一つあって、少し離れたところに男が立っている。 最後の文字をしまい込もうと、じっと“それ”を見おろしている 「私」が大急ぎで駆け寄っている。
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