黄色い悲鳴はあげられない

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 数年前、アイドルデビューした隆一が嬉しそうに報告してきた時、私の返事は冷たいものだった。だって中二病全盛期だった私は、三次元になんて興味なかったんだもん!  それに腹を立てた隆一は、 「くっそ、じゃあお前の好きなアニメにでてやる!」 「はぁ? 声優舐めんな! アイドルがやりましたーみたいな棒読み演技なんて誰も望んでねぇんだよ!」  と、まぁしょうもない喧嘩になり、隆一はそんなことすっかり忘れてたと思ってたいたが、 「陽子を驚かせて認めさせたかったからね」  しっかり覚えていたし、実行してた。なんてやつだ。 「このためにこっそり勉強してたからね、シューにも聞いて」  グループの半分俳優みたいな人の名前をあげる。 「ああ、シューくんね……じょうずだもんね、演技」  私はなんか力が抜けてしまった。
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