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さらに2年後
さらに2年後、男が叔父の家を訪れた時には、松の木がなくなっていて、道が広くなっていた。
叔父「公共事業で道を広げようということになってなあ。で、邪魔になる松の木もその時に切ったんだ。」
男「和尚が納得いかなかったんじゃないですか?あの松の木は、わしの妻だ!!とか、この前叫んでましたから。」
叔父「いや、あっさりとOKしたらしい。何でもそこそこの金を貰い、可愛いパブのお姉さんを紹介してもらったらしく、今では毎晩、そのパブに行きまくってるそうだ。」
男「なんなんだ、あの和尚は。」
叔父「因みに、あいつは和尚じゃないぞ。あいつは、和尚みたいな格好をしているが、この村の村会議員だ。議員だから、今度、どこを工事するか分かるわけで、その近辺の土地を前もって買っておいて、工事が始まると、高い値段で売りつける。松の木もその一環だったのかもしれんなあ。」
男「なるほど。」
男は、帰り際に松の木のあった所を立ち止まって見てみると、アスファルトで覆われていた。恐らく、根っこごと引き抜かれて、どこかへ捨てられたのだろう。
男は軽トラに乗って、去って行った。
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