プロローグ01 [成田ミチ]

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プロローグ01 [成田ミチ]

折橋ミチは、 生粋のお嬢様だった。 町を見渡せる丘の上。 そこにそびえ立つお城のような家に住み。 彼女づきの女中5人に加え、 使用人8人と共に過ごしていたが、 残念なことに 彼女が16歳になる頃には家業が傾き。 考えあぐねた父親は、 一代で財を成した成田真太郎に ミチとの縁談話を持ち掛ける。 真太郎はミチより12も年上であったが、 非常に野心家で、 折橋家のコネクションを得られるのなら 構わないとこれを快諾。 高校を卒業と同時に、 彼女は真太郎と祝言を挙げた。 …昭和28年のことである。 長女ユリは結婚4年後に誕生。 次女キクはその2年後、 三女フジは更に2年後。 待ちに待った男児は、 そのまた2年後に産声をあげた。 この男児は名を『大吾郎』と名付けられ、 それはそれは可愛がられたが、 翌年、次男の『小次郎』が生まれた際、 事態は急転。 …真太郎が急逝したのだ。 享年41歳、 愛人宅での腹上死だったと。 世間知らずのミチに、 会社経営が出来るはずもなく、 気付けば重役に全て会社を乗っ取られ、 結果、遺産だけで食い繋ぐことに。
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