冷徹男の救いの手

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「要するに働きにくくなったと、そういうことですね」 「……そうです」 「他人を踏みにじって快感を得るタイプの人間にカモにされていると」 「……」 「まあ開き直ればいい話ですが、その状態を解消する手っ取り早い方法はあります」 商売上どうせ自己改革セミナーを受けろとかその類だろうと諦めて聞いていた私は、彼の提案に呆気にとられた。 「恋人を作ってしまえばいいんですよ。そうすれば相手は関心を無くすでしょう」 彼の顔をまじまじと見つめたけれど、冗談を言っている風でもなく、平然と見つめ返された。 「簡単に恋人を作れるならとっくにそうしてます。全然できないって、バーでぶちまけたじゃないですか」 「確かに」 彼の顔が可笑しそうに歪んだ。 たぶん私の醜態を思い出したに違いない。
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