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「ナツ。……ナツ。……ナツったら!」
「はっ、はいっ」
社員食堂のテーブルがどすんと揺れて、湯呑みのお茶が跳ねた。
正面では茉由子が呆れ顔で私を眺めている。
「さっきからずっとお箸とまってる。早く食べないと来るよ、あれが。今日はうちの社に来てるって言ったじゃん」
“あれ”とは皆川さんのことだ。
「ほんと、いっつもボンヤリしてんね」
「意外と頭はフル回転してるんだよ」
「そうは見えない」
あれから茉由子は律儀に皆川情報を入れてくれているけれど、実はダミーとはいえ“付き合っている”ので皆川情報は不要になっていた。
だけど私はそれをなかなか言い出せずにいる。
私にだって色々と悩みや考え事があるのだ。
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