たまこ夫人

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そして御友人に訪ねられました。 「ねえ、これはなんという食べ物なのかしら、初めて見ますわ」 御友人は驚きました。 なんせ「のりたま」は何十年と昔から販売されているのですから、それを知らないなんて、たまこ夫人は庶民の食べ物を知らないのだろうかと思ったのでした。 御友人は「たまこ夫人、これはのりたま、とういうふりかけなのです。一つお召し上がりになられてはいかがですか」と声をかけました。 たまこ夫人はまるで子供の様に顔をほころばせながら言うのでした。 「ええ頂きますわ」と言うと黄色く輝く、のりたまのふりかけのかかった、小さなお結びを白く美しい手で一つつまみ、とても美しいお口へとお入れになりました。 たまこ夫人は口に入れた途端、喜びの顔色になりなした。 「ああ、なんておいしいのかしら。卵の甘みもあって、ああ何とも言えない美味しさですわね。私この、のりたまとても気に入りましたわ」と言うとたまこ夫人はのりたまのかかった小さなお結びを一つ、また一つと口に運んで行くのでした。
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