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グヲングヲオオオオオオン
そのとき、今まで生きてきた中で一度も耳にしたことのない、この世のものとは思えぬほどの、けたたましくも悲壮に満ちた音が、山の頂の方向から聞こえてきたのだった。
「ひ…。な、なに!?この音は…。」
「山が…、鳴いているんだ…。魔の山の主が嘆いて…いるんだ…。」
いつの間にか、辺り一面真っ白な画面しか映らなくなり、大きな轟音とともに自分の身体が魔の山の斜面をものすごい勢いで駆け下りていくのを、幽体離脱した傍観者のようになくなりかけた感覚の狭間でただながめるしかなかった。
なだれに飲み込まれてしまった…。
なんとかしなくちゃ…。
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