厳しい修行の果てにの巻

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 「イエイエ、イーオノコキョウニエイケンノミナサンヲヨベテ、イッショニモンテビアンコマデノボレルナンテブラビッシーモデスネ!」 ジャンカルロ・デッラ・ロッカ…、この恐ろしく行動力あふれるイタリア男と、その遺伝子の源になった空手道場師範のパパが、原因のひとつではあるけれども…。 それはそうと、あたしと監督と丸子はエイケンのメンバーで、井戸塚さんは外部講師だからいいとして、なんでただのバイト感覚で雇われているだけのお兄ちゃんがいっしょについてきているんだ…!? 「ん、どうした?緑子?俺たちエイケンのみんなで、ぞんぶんに楽しもうな!(日本に帰ったら写真や映像を売って、がっぽり儲けられるぞ!)」 …お兄ちゃん…、心の声がだだ漏れ…。  そして、よりによって、海斗が飛行機に乗り遅れるとか…。ドジっ子ってレベルじゃないわ、あのバカ! べ、べつに海斗なんかいなくたって…。 こうなりゃモンブランに登ったこと、後で思いっきり海斗に自慢してやるんだからね。  あたしたちは、ヴァッレダオスタ州の州都アオスタに一泊し、出発時の晴天無風を祈っていたのだった。 そして、いよいよモンブランにアタックをかける…、緊張の瞬間が待っていた。
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