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眠りに落ちるヒト。
青年は自らが護られている事も知らずに今宵も睡眠を貪る。その頭上に輝く光は珠の形状を成して、尚も肥大する。その大きさは豆粒のようであり、ヒトからすればさほどの重さすら感じないであろうし、何かの拍子に物陰に転がって紛失するやもしれない。
コビト達にとっては片手でもやっと持てるかどうか、野球、いやソフトボールで使う球のサイズに同等するといったところか。
柔らかく、儚く、幾多ものホタルの輝きを集めるように、光は線から粒になって収束していく。
「まだ完成まで時間かかるか……もな」
ゴトトッ
微かな気配に赤帽子の小人が語尾を鈍らせる。
彼は経験から次に起こりうる現象を察知していた。
「ジン、来るぞ」
赤小人が青小人に警告した。
ジンと呼ばれた青帽子は大きな弓をベッドの下に蠢く闇に向かって差し構える。
その方向は赤小人の背後を護り、眠るヒトの足側を護るに値する。
「レン、そっちは任せたよ」
青帽子の小人が言った。
赤小人のレンは呼ばれ慣れた名前とセリフに返答なく、青小人にその背中を預けた。
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