第一夜 夢珠

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   疾駆する二つの影。  赤と青の戦士は異形の動きを待たない。  今、次の瞬間にも、また一つの異形が現れるかもしれないからだ。  常に先行して動く。  即、排除は夢防人の第一原則だ。  レンは大剣を両手に、駆ける。 「おおぅりゃあぁああ!」  咆哮と共に下段から切り上げるように振り抜く。  邪夢は虚を付かれ、胴体を下から打ち上げられる。僅かに刃が食い込み、触手を巻いた胴体から紫色の体液を吹き出しながら、床から引き剥がされる。  体液は床に落ちる事なく蒸発し、空中に浮かされた胴体は風船が大気に泳ぐように滞空する。  レンが大剣を振り上げた反動と共に飛翔する。  空中で邪夢の胴体を三度蹴り付け、自らの身体を上へ、上へと持ち上げる。異形を踏み台にして空高く舞い上がり、今度は振り上げたままの大剣を全身の力を込めて振り下ろす。  砕けよと言わんばかりに。  金属と硬い何かがぶつかり合う音が弾けて、邪夢の【眼】がひび割れる。  異形の体躯は床に強かに打ち付けられ、さらにゴム毬のように弾んだ。
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