放課後

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**** 「ただいま」 リビングに入るとソファで本を読んでいた兄が顔を上げ、 「おかえり、小百合。今日は遅かったね」 「……棗兄さん」 「ん、なんだい?」 何も知らないというような顔でにこにこと返事をする兄に、思わず長いため息が出た。 「どうして、殺したのですか」 咎める口調と不機嫌な表情の妹に、兄はソファから立ち上がり妹へと歩み寄る。目の前に立つと、目線を合わせるように屈み、両手で妹の頬を包み込む。そして笑顔のまま、 「あのゴミが悪いんだよ。これ以上小百合に近付くのはやめてくれと忠告したのに、アレは聞かなかったんだから」 「だから殺したのですか」 「そうだよ。ダメだったかな?」 いつの間にか鼻が触れ合う程に近付いた二人。 妹は両頬を包む兄の手に自分の手を重ね、 「…いいえ、小百合を思ってしてくれた事ですから。とても、嬉しいです」 そう言って、兄の手に頬をすり寄せた。 「ああ、良かった。怒ってるのかと思ったよ」 「あら、怒ってますよ?」 「え」 「兄さん、私に内緒で殺してしまったじゃないですか。一人でやってしまうなんて…酷いです」 むくれた妹に兄は小さく笑いながら、謝罪した。 「ごめんよ、これからは小百合に黙って殺したりしないから。許してくれよ」 軽くリップ音をたてながら、妹の額にキスをする。 「許してあげますよ、今回だけですからね。だから……」 どちらからともなく唇を寄せて、 「だから、早く目を閉じて」
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