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「6.5.4.3.2.1.ぜ」拓哉は引き金に人差し指をそえる。
「半券」あるひらめきが起こり、思わず彼女は答えた。
拓哉は黙っている。
「映画の半券。拓哉と初めて行ったデート、映画を見に行った時。拓哉が遅刻して、はじめに決めてた映画が見れなくなっちゃって。拓哉、泣いちゃってさ。でもその後に見た映画が楽しくて。拓哉、その半券一生大切にするって言ってたよね」
「そうだ」
「今まで恋愛したことがなくて、私がはじめてだって言ってくれたよね」
「ああ」拓哉は泣いていた。警戒心がなくなっていったのか、拳銃を下ろした。
「私も嬉しかったよ。ああ、これが運命なんだなって思ったの。だからさ、こんな関係になっちゃったけど……また映画を見に行かない?2人がはじめて見たジャンルで」
「うんうん」
愛菜は拓哉に気づかれないように、スマホの画面を録音画面に変え、最大音量に設定する。
「うん、……とびっきり甘い恋愛映画をね!拓哉じゃなくて、守さんとね!」
彼女は壁に設置された、照明のスイッチを背中で擦ってオフにした。
「うわっ、真っ暗だ。くそっ」
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