第1章

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彼女はスマホの録音画面から、先ほどの記録の一部を再生し、対角線上のソファーに投げ入れた。 『キャー!!』と大音量の悲鳴が部屋中にこだまする。 「くそっ、ここか!!」と拓哉はソファーに向けて何発も発砲した。彼は弾切れになるまで打ち込み、我に返った。 「弾切れ。あの声はもしかして……さっき映画を見て叫んでた、あの声!?ちくしょう、スマホに録音してたのか。さっきの宅配の時の叫びをブラフに使って、2度目もあると俺に錯覚させたのか。くそっ、とにかく、明かりだ」よたよたとスイッチのある、壁際に行きスイッチをオンにする。 すると、彼の眉間に拳銃のトカレフが突きつけられていた。彼女のそばには、くしゃくしゃになった新聞紙があった。明かりが消えた際、愛菜はキッチン棚に向かい、新聞紙に包まれた拳銃を手に取っていた。 「え、銃」 「キッチンの棚に隠しておいたの。あなたが私の大切な信念を侮辱しなければ、すぐに使おうとは思わなかったけれど。ね、私達似た者同士って言ってたじゃない?」くすくすと愛菜が笑う。 あっ、と拓哉ははじめに質問についてのルールを説明した時に、彼女が言った言葉を思い出した。 ーーわかったわよ。それにしても……私達似た者同士ね。 冗談だと思っていたが、彼女もまた俺を殺そうと拳銃を手に入れていたと言うのか。 「なあ、愛菜。待ってくれないか、そうだ今度は君が僕に試練を与える番だ。そうだろう?」 愛菜は3発の発砲で答えた。
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