第1章

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「キャー!!」 「愛菜、立て」拓哉はクイクイと手で合図する。 ここは素直に言うことを聞いた方がいい。そう考えた愛菜は素直に拓哉に従い、ゆっくりと立ち上がった。 ※※※ そして、現在の状況に至る。拳銃を境に向き合う男女。 固唾を飲んで愛菜は拓哉の質問を待つ。 「質問は……俺が君との仲でとても大切にしているものを答えてくれ」 「大切に……しているもの……?」 愛菜は、全身全霊で頭を回転させていく。真実の愛のまがい物だった、拓哉との仲に大切にしているものなんて、あるわけないじゃない。とは思うけど、なんとかしてこの窮地を切り抜けないと。 死ぬほど恐いけど……守(まもる)さんという運命の相手に出会えたんだもの。妻子があろうが、関係ない。この障害だって同じ。うん、絶対できる。 守は愛菜の不倫相手であり、妻子ある身だ。  しかし、真実の愛を求め続ける愛菜にとって、離婚すること。また、二つの家庭を破壊し尽くす事は大きな障害であった。だが、越えられないとは思っていない。
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