第1章

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愛菜はここで辺りの状況を確認する。拓哉は私に右手で銃を突きつけてる。左手は何も持っていない。証拠隠滅の為か、手袋はしているけど。 私はバスローブ姿で、唯一持ってるのは……携帯だけ。 「おいっ、聞いてんのか?そうだ、一回につき三分だ。三分以内に答えなかったら、お前を撃ち殺す。お前の命は合計で10分もない」拓哉はゆがんだ笑みで語る。 「わかったわよ。それにしても……私達似た者同士ね」拳銃を見据えながら、愛菜が言った。 「全く違うだろう、ほら答えだ。さあ!」ここぞばかりに、銃口は愛菜の眉間を圧迫した。 「えっと……」愛菜は必死で考えを巡らせる。 「ちなみにな、最初の質問から……今は」と、拓哉はちらと置き時計を見て、笑った。「ちょうど2分30秒だ」 途端に愛菜の血の気が引く。後30秒しかない。 「待って。今、考えてるの」バクンバクンと心臓の鼓動が聞こえる。 「後15秒もない」拓哉は事務的に伝えた。
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