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ガシャン
壊れかけたフェンスは今にも切れてしまいそうだった。
「いや、マジで危ないですって!」
翔太が立ち上がる。
俺はその姿に堪らず手を差し出した。
「翔太」
俺の手を握ってくれ。
最後はお前の温もりを感じながら逝きたいんだ。
「サトルさん、本当に危ないから!」
これは俺の魂だから、俺の体が朽ちるとお前には見えなくなってしまう。その前にちゃんと俺も消えておかないとな。
後は夢で会おう。
そしていつもの質問をするから。
俺との土曜日をやり直したいか?と。
ヒューーーーーー
早くしろ
お前には見えないだろ?
これ、突風じゃないんだぜ。
俺の欲を満たす手伝いをしてくれている悪魔たちなんだ。
「サトルさん!大丈夫ですか?」
ヒューーーーーー
悪魔たちがそろそろ時間だと囁く。
わかってるよ、俺だって名残惜しいんだ。
また直ぐ会えるだろって?
そうだな
でも、この手を振り解く瞬間が俺には1番辛いんだよ。
しかし悪魔たちはそれを待ってはくれない。
分かったよ、今やる。
そして翔太の手から俺の手を引き最後にいつもの台詞を言う。
「またな、翔太。」
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