第1章 Hatedperson

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「怖い!」 ルミカの身体が、小刻みに震えている。 危険を感じた晃が、ルミカの腕を 引っ張りながら、病院の出口に向かう。 慌てて2人が病院から外に出ると、 既に雨が降っていた。 かなり強く降っていたので、近くの ホテルに逃げ込んだ。 看板にはアッパホテルと書いてあり、 小さな洋館ホテルだが、地元では 連れ込みホテルとして有名であった。 また、過去には殺人事件が何回か 起きている曰く付きのホテルだ。 しかし、宿泊料が安い為にそんなに 客足が落ちる事は無い。 (お一人様、一泊2000円) 格安ホテルにしては、破格の安さだ。 所々外観が朽ち果てている為、 心霊スポットとして有名に。 大地震が来れば、たちまちペシャンコ だろう。 3階建ての最上階にある1室に、 ルミカと晃が鎮座する。 部屋の真ん中あたりにダブルベッドが 置いてあり、その脇にソファが設置 されていた。 2人してソファに座り、ハイボールを 呑んでいる。 嫌でもベッドが目に飛び込んでくるが、 彼女に悪いがその気になれない。 乗れないのは、和代を殺してしまった 罪悪感からだ。 「ゴメン、僕には何もできないんだ。 10年以上勤めた会社まで辞めちゃって」 「いいのよ、貴方のせいじゃないわ。 事故よ、交通事故だったのよ!」 ルミカが、宥める様に囁く。 「慰めはいいよ、僕も君を 幸せには出来ないよ」 「可哀想に・・・」 ルミカの言葉にも晃は虚空を見詰めてる、 相当精神的に参っているようだった。
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